『ブルーフェアリーを探せ』 シナリオ








■第2場面 人形たちの控え室 


 登場人物=ベッキオ、ミットーリオ、ジュリア




 人形掛けに掛けられているベッキオ。


 おもちゃ箱に入れられているのは、ミットーリオとジュリア。

ベッキオ 「たまには、正義のヒーローなんか、やってみてえな」




ミットーリオ 「僕だって、いつも王子様じゃ飽きちゃうよ。たまには悪役もしてみたいよ」




ベッキオ 「よく言うよ。悪役なんて最悪だぜ。だいたい、なんだって悪役はいつも髭生やして、ぶっとい眉毛が、こんなふうに吊りあがってるんだ? ワンパターンもいいところだ」




ジュリア 「私も、違うお洋服が着てみたい」




ベッキオ 「おまえ、いつも服のことばっかだな」




ミットーリオ 「それと、おしゃべりのこと」




ベッキオ 「そうそう。そんなに、人間の女の子と、おしゃべりがしたいかね」




ジュリア 「そりゃそうよ。女の子にとっては、おしゃべりはなによりも大切なものだもの」




ミットーリオ 「じゃあさ。おしゃべりとオシャレと、どっちが大切なのさ」




ジュリア 「そんなの決まってるじゃない。両方よ」




ミットーリオ 「そうじゃなくてさ。どっちかといったら、どっちなの?」




ジュリア 「どっちかと聞かれても、どっちもなの」




ベッキオ 「わけ、わかんねえ」




ジュリア 「でも、本当に人間の女の子とおしゃべりできたら、最高だろうな」




ミットーリオ 「そうかもしれないけど、それは無理な話だよ。僕たちの声は、人間には聞こえないんだ」




ジュリア 「そんなの、わかってるわよ。でも、話がしてみたいな。……そうだ、私たちの声が聞こえないのなら、お互いの心が見えればいいのよ。そうすれば、声が聞こえなくても、相手の心がわかるもの」

*******




♪2心が見えたら 歌=ジュリア


※心が見えたらいいのにね 想いがわかればいいのにね


私の心が見えたなら 言葉にしなくてもいいのにね




あなたの心が見えたなら 言葉をえらぶこともできる


心のなかにひそむ想い お互いにわかりあえるものね




 虹のように見えたらいいのにね


 雨があがるときならいいのにね


 涙も雨と同じだもの


 なのに心はいつも見えない




※心が見えたらいいのにね 想いがわかればいいのにね


私の心が見えたなら 言葉にしなくてもいいのにね




(間奏)




 虹のように見えたらいいのにね


 雨があがるときならいいのにね


 涙のあとに見えるならば


 悲しみも悪くはないものね




あなたの心が見えたなら 私の心も見えるでしょ


見えたら心を絵に描いて いつまでも大事にしまえるもの




(間奏)




※心が見えたらいいのにね 想いがわかればいいのにね


私の心が見えたなら 言葉にしなくてもいいのにね




 *******

ベッキオ 「(あきれた表情で)はいはい。心が見えたらね……俺たちの声が聞こえるより、もっと難しいと思うけどね」




ミットーリオ 「でも、そうだよな。僕らの心が見えたり、声が聞こえたりしたら、団長だって僕らの意見を聞いてくれて、たまには違う衣装や違う役をくれるかもしれないね」




ベッキオ 「ムリムリ。あの団長は、金儲けのことしか考えていない。まるでピノキオに出てくる、悪の人形劇団団長ストロンボリみたいだ。別の衣装を作る費用なんて出すわけ……(話しているうちに、なにかを思いつく)そうだ。ピノキオだ」




ミットーリオ 「なに」




ベッキオ 「ピノキオだよ、ピノキオ。ピノキオの話、知ってるだろう」




ミットーリオ 「知ってるけど」




ジュリア 「それが、どうかした?」




ベッキオ 「俺たちも、ピノキオのように人間にしてもらえばいいんだ」




ミットーリオとジュリア 「え?」




ベッキオ 「星に願いをかけて、それでブルーフェアリーに登場してもらって、そんでもって、じゃじゃ〜んって人間に変えてもらうんだ」




ジュリア 「ベッキオ、なんか、悪いもの食べた?」




ベッキオ 「(言い聞かせるように)俺たちはマリオネット。食事はしねえの」




ミットーリオ 「じゃあ、悪い夢でも見たんだ」




ベッキオ 「あのなあ。俺は大まじめだ。こんな、つまんねえ生活、嫌だろう。毎日毎日同じ役で、ガキどもにやじられて、俺はもう、うんざりだ」




ミットーリオ 「まあ、その気持ちはわかるよ。……人間みたいに、好きなときに好きな所へ行って、好きなように遊んでみたいもんね」




ジュリア 「うん。好きなお洋服を着て、思いっきりおしゃべりを楽しんでみたい」




ベッキオ 「だろう」

 *******




♪3人間になれたら 歌=三人


(ベッキオ)


人間になれたら 俺は やりたい 仕事を 見つけて 俺らしく


 生きてゆく それが俺が認められるための 道だ




(ジュリア)


人間になれたら 私は 素敵な 服着て たくさんの 友達と 


 好きなだけ おしゃべりをして楽しく暮らして ゆくの




(ミットーリオ)


人間になれたら 僕は 行きたい ところへ 自由に 旅して


 知識を得る ありとあらゆる謎が好奇心を くすぐる




(全員)


人間になれたら おいしい ものを食べ ベットで 夢見て つまづいて 痛みも知り 涙流して恋を語りあう きっと




人間になれたら あれも これも それも どれも 全部


 思いつくこと 手当たり次第チャレンジしてみる ぜったい




 人間になれた


   人間になれた


     人間になれた




 *******

ベッキオ 「だから、ブルーフェアリーに会いに行こうぜ」




ミットーリオ 「会いに行く?」




ベッキオ 「そう、会いに行くんだ」




ジュリア 「どこへ?」




ベッキオ 「まずは、星を見つけなきゃだめだ。この部屋には窓もないから、星が見たくても見えやしねえ。だから、この部屋から抜けだす必要がある」




ミットーリオ 「そんな、抜けだすって……




ジュリア 「だめよ、そんなこと。見つかったら、団長に叱られるわ」




ベッキオ 「あのな。望みをかなえたかったら、まずは行動することだ。行動してこそ、はじめて夢は叶えられる。劇中のセリフで、俺たちはガキどもになんべん言ってると思う? (手を振りあげてセリフ調に)夢はかならず叶う。ドリーム、ドリーム叶え。あきらめずに頑張るんだ」




 うなずく、ミットーリオとジュリア。




ミットーリオ 「うん。くさいセリフだけど、毎回のように言うよね」




ベッキオ 「……だろう。子供たちに夢をあきらめるなって呼びかけている俺たちが、夢を信じなくて、どうするんだよ」




ジュリア 「そうね」




ベッキオ 「夢を信じて叶えるためには、まずは行動することだ。そして俺たちの場合は、まずは糸を切ることだ」




ミットーリオとジュリア 「糸を?」




ベッキオ 「そう。俺たちを操る糸を断ち切り、あらゆるしがらみから解き放たれるんだ。夢を叶える第一歩は、まず糸を切ることだ」

 *******




♪4糸を切ろう 歌=ミットーリオ、ベッキオ


(ミットーリオ)


糸を切ろう 糸を切ろう


サクッとサッと 糸を切って 自由になろう




糸を切ろう 糸を切ろう


しがらみを 断ち切って 自由になろう




(ベッキオ)


 糸を切れ 糸を切れ


 迷うことなく断ち切れ






(ミットーリオ)


糸を切ろう 糸を切ろう


サクッとサッと エイッとやっと ほいっとちゃんと切ろう




糸を切ろう 糸を切ろう


僕らを 操る 糸を切って出よう




(ベッキオ)


 つるぎ持て はさみ持て


 糸を切れば 放たれる


 縛る糸を切り裂き いざ行け




(ミットーリオ)


糸を切ろう サクッと切ろう


軽やかに ステップ踏んで ここを飛びだそう




糸を切ろう 糸を切ろう


サクッとサッと エイッとやっと ほいっとちゃんと切ろう




そこには 未来が 見えているから


ウズウズ ワクワク 体が動く






(ベッキオとミットーリオ同時に)


(ミットーリオ)


糸を切ろう 糸を切ろう


サクッとサッと 糸を切って 自由になろう




糸を切ろう 糸を切ろう


しがらみを 断ち切って 自由になろう


(ベッキオ)


 糸を切れ 糸を切れ


 迷うことなく断ち切れ


 つるぎ持て はさみ持て


 糸を切れば 放たれる




 *******

 ジュリアが歌をさえぎる。




ジュリア 「ちょっとまって。それって、どっちの歌も糸を切ろう、っていう歌なんだけど、どっちの歌をテーマとして使うの?」




ベッキオ 「そりゃあ、もちろん俺の歌だ。腹の底から力のわくような曲が、このテーマにはピッタリだ」




ミットーリオ 「そんなことないよ。希望に向かって歩きだす歌は、明るく、弾むような曲があうんだ。オズの魔法使いだって、そうじゃない」




ベッキオ 「そんなことないね。力強い曲のほうがいいに決まってる」




ミットーリオ 「じゃあ、ジュリアに決めてもらおうよ」




ベッキオ 「おお、いいね。ジュリアに決めてもらおう」




 と、ジュリアにたずねる二人。


 ジュリアは二人の顔を交互に見て、迷いながら。




ジュリア 「う〜ん……決められない」




ベッキオとミットーリオ 「なんで」




ジュリア 「だって、どっちかに決めたら、片方に恨まれるもの」




ベッキオ 「恨んだりしねえって」




ミットーリオ 「そうだよ」




ジュリア 「それでも、決められない。二つの歌を、順番に歌えば」




ベッキオとミットーリオ 「順番? ……じゃあ、出だしは俺のから」




 と、二人はいっぺんに歌い出す。




 歌いながら、マリオネットの糸を切り、部屋を出ていく三人。




 暗転。




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