『ブルーフェアリーを探せ』 シナリオ








■第9場面 街頭5


 登場人物=ベッキオ、ミットーリオ、ジュリア、ネズミ






 消えた袖から登場するベッキオとネズミ。


 すると、反対側の袖から、追いかけられるように登場するミットーリオ。




ベッキオ 「おう、ミットーリオだ。まるで、台本に書かれているような登場だ」




ネズミ 「おまえたちは人形劇団の役者なんだろう。きっとそうなんだよ」




ベッキオ 「おい、ミットーリオ。星が見つかったぞ。一緒に、ブルーフェアリーに願い事をしようッ」




ミットーリオ 「あ、ベッキオ。こっちへ、来ちゃだめだッ」




ベッキオ 「どうしたんだ? あッ!」




 背景上部に、とつじょイヌの顔の影絵。


 イヌの唸り声と共に、影がミットーリオに覆いかぶさり、ミットーリオが倒れる。




ミットーリオ 「うわあッ!」




 激しくのたうちまわるミットーリオ。




ベッキオ 「この野郎ッ。何度も何度も俺たちを襲いやがって。もう、許さねえッ!」




 ベッキオが剣を抜き、影絵に向かって飛びかかる。


 剣をイヌの目に向けて突きだす。




 野良犬の、キャンっと鳴く声。


 そして、野良犬の影絵が消える。




 ベッキオがミットーリオに駆けよる。




ベッキオ 「だいじょうぶか、ミットーリオ」




ミットーリオ 「うん。でも、足が取れたみたい」




 ミットーリオの片足が取れてしまった。




ベッキオ 「くそ……あのイヌの野郎。なんだって、何度も俺たちを襲うんだ」




ミットーリオ 「ごめん。今回は、僕のほうが誤って、あの野良犬に近づいたんだ」




ベッキオ 「まじか?」




ミットーリオ 「うん。たまたま、ゴミ捨て場のそばを通りかかったら、そこにピノキオの絵本が捨てられてあったんだ。それで、もう一度、話の内容を確かめようとゴミ捨て場に近づいたら、あの野良犬がいたんだ。たぶん、餌を奪われると思ったんじゃないかな」




ベッキオ 「そうなのか……でも、もうだいじょうぶだ。星の見える場所がわかった。これから一緒に行って、ブルーフェアリーにお願いしよう」




ミットーリオ 「本当? その場所に行ったの?」




ベッキオ 「いや、まだ行ってない。あのネズミが、場所を知っている。その名もズバリ、『星が見えるヶ丘公園』って言うらしい」




ミットーリオ 「すごいよ、ベッキオ」




ベッキオ 「ああ。でも、あのネズミが知ってたなら、はじめから星の見える場所をたずねてれば、ジュリアとも別れずにすんだのにな」




ミットーリオ 「そうだけど、すんだことは仕方がないよ」




 ベッキオがミットーリオに肩をかす。




ベッキオ 「歩けるか?」




ミットーリオ 「ベッキオが助けてくれれば、だいじょうぶ」




 それまで舞台の隅に隠れていたネズミがやってきて、ミットーリオの足をしげしげと見つめる。




ネズミ 「痛くないのか?」




ミットーリオ 「僕らは人形だから、痛みは感じないんだ」




ネズミ 「なんかそれって、うらやましいな。痛くもないし、食べなくてもすむし。人間にならないほうが、いいんじゃないのか?」




ベッキオ 「ネズミにはわからないかもしれないけど、人形には人形なりに不自由なことがあるんだよ」




ネズミ 「おまえたちを見てると、悩みなんかないように見えるけどな」




ベッキオ 「それより、その『星が見えるヶ丘公園』の場所を教えてくれ」




ネズミ 「お安い御用さ。まずは、この道を渡って、まっすぐ行く」




ベッキオ 「聞いただろう。この道を横断する。行けそうか?」




ミットーリオ 「うん」




ベッキオ 「じゃあ、俺の肩に、しっかりつかまってろよ」




ミットーリオ 「うん」




 ベッキオとミットーリオが肩を組んだまま、舞台後方から客席に向かって歩きだす。


 ネズミは、そのうしろに従う。




 そのとき、スポットライトが、ベッキオとミットーリオを照らす。


 驚いて、立ち止まる二人。


 スポットライトが、素早く移動して消える。


 つづいて、背景上部に車のタイヤがあらわれ、舞台の袖から袖へ、猛スピードで消える。


 鈍い音がして、ベッキオとミットーリオが後ろに跳ねとばされる。




ベッキオとミットーリオ 「うわああッ!」




 ネズミは驚いて、舞台の袖に逃げて消える。




 つづけざまに、車の急ブレーキ音。


 車のドアが開く音。




●男の声 「やべえ、ネコを跳ねとばした」




●女の声 「まじ? 後味、悪いじゃん」




●男の声 「これから真夜中のデートだっつうのに、超、縁起でもねえ」




●女の声 「それより、黒猫だったら、祟りがあるよ。どうする」




●男の声 「そんなこと言うなって」




●女の声 「だって、このまえ借りたDVDに、そんなのあったもん」




 背景上部に、男と女の顔の影絵。




●男の声 「なんだよ……ネコじゃなく、ただの人形じゃん」




●女の声 「ほんとだ。まじ、びびった」




●男の声 「ったく、こんなところに人形を捨てるなっつうの」




●女の声 「ほんとよ、モラルもなにも、あったもんじゃないわ」




●男の声 「なんにしても、よかったぜ」




●女の声 「でも、人形の祟りってのも、あるじゃん」




●男の声 「そんなこと言うなって。それより、ドライブ、つづけようぜ」




●女の声 「やだ。気分が乗らない」




●男の声 「なんでだよ」




●女の声 「だって、あんた、制限速度、守らないから」




●男の声 「まじ?」




●女の声 「飛ばしすぎて、こんどこそネコとか跳ねたらやだもん。祟られたら、どうすんのよ」




●男の声 「わかったよ。制限速度、守るよ」




●女の声 「絶対よ」




●男の声 「ああ、絶対守る」




●女の声 「じゃあ、いい」




 ドアの閉まる音。


 車の発進する音。




 しばし、静かな時間が過ぎる。


 やがて、ゆっくりと目をあけるミットーリオ。


 なにが起きたのかすぐには理解できず、まわりを見まわすミットーリオ。


 車に跳ねられたことを思いだし、ベッキオを心配する。




ミットーリオ 「ベッキオ。だいじょうぶ? しっかりして。目をあけてよ、ベッキオ」




 ベッキオの体を揺らすミットーリオ。


 それでも、動かないベッキオ。




ミットーリオ 「起きてよ、ベッキオ。ねえ、目をあけてよ」




 すると、ゆっくりと目をあけるベッキオ。




ミットーリオ 「よかった……




ベッキオ 「でも、俺、もうだめかもしれない」




ミットーリオ 「なんで」




ベッキオ 「足だとか腕のあっちこっちにヒビが入ったみたいで、思うように動かないし、それにおまえの顔が、よく見えないんだ。なにもかも、かすんでハッキリと見えない」




ミットーリオ 「そんな……




ベッキオ 「おまえはどうだ? もし、一人で歩けるなら、おまえだけでも『星が見えるヶ丘公園』に行って、ブルーフェアリーに願いをかけてこいよ」




ミットーリオ 「いいよ、やめておくよ。一人で人間になっても、ベッキオがいないんじゃつまんないし、なによりも一人では歩けない。それに、僕らはいつも一緒だったじゃないか」


 *******




♪14僕らは一緒 歌=ベッキオ、ミットーリオ


(ミットーリオ)


いつの日も 二人で


どんな日も 二人で


乗り越えて 歩んだね




辛くても 二人で


苦しくても 二人で


助け合い 歩んだね




※姿が 見えないときも あった


 言葉に つまったときも あった




それだけど 二人で


手を取って 二人で


僕たちは 一緒だよ






(間奏)間奏のあいだセリフを言う。




ベッキオ 「そうだったな……俺たち、造られたときから、ずっと一緒だったな……




ミットーリオ 「そうだよ。家族みたいなもんだよ。だから、これからも助けあっていこうよ」




ベッキオ 「そうだな。一緒なら、乗り切れるかもしれないな」




ミットーリオ 「うん」






(ベッキオ)


これからも 二人で


いつまでも 二人で


助け合い 行けるなら




どこまでも 二人で


果てしない 場所でも


辿りつく 二人なら




※姿が 見えないときも あった


 言葉に つまったときも あった




それだけど 二人で


手を取って 二人で


俺たちは 一緒だぜ


(ミットーリオ)一緒だよ




それだけど 二人で


手を取って 二人で


俺たちは 一緒だぜ


(ミットーリオ)僕たちは 一緒だよ




 *******

ベッキオ 「そうか……ってことは、朝までここに居て、そのうち美化活動のボランティアに拾われる運命か」




ミットーリオ 「そうなるね」




ベッキオ 「おまえだけでもいいから、拾ってくれる人がいるといいな」




ミットーリオ 「だいじょうぶ。ベッキオにも、きっと拾い主があらわれるよ」




ベッキオ 「そうだな。おまえと同じ拾い主にならないかもしれないけど、おまえが先に誰かに拾われた場合、そのあとで、ぜったい俺にも拾い主があらわれる。だから安心して、拾い主があらわれたら、おまえはそこに行くんだぞ」




 ベッキオが焼却炉行きになるかもしれないが、それを心配させまいとするベッキオの気持ちが、ミットーリオにも伝わる。




ミットーリオ 「わかったよ。……でも、最後まで星が見られなかったのは、残念だね。ブルーフェアリーに会えなかったとしても、星だけは見ておきたかったな」




ベッキオ 「本当だな」




ミットーリオ 「……なんだか、とっても長い一夜だったね」




ベッキオ 「ああ。……なんか、みんなに悪いことしたな」




ミットーリオ 「なんだよ、それ」




ベッキオ 「俺が人間になろうなんて言いだしたばっかりに、こんな目にあってさ」




ミットーリオ 「そんなことないよ。ベッキオだって知ってるだろう。どのみち、僕らは捨てられる運命にあったんだ。あのまま劇団にいたら、紐で束ねられて、それこそ逃げられないままゴミ処理場に行ってたかもしれない。だから、むしろベッキオは、僕らを助けてくれたんだ」




ベッキオ 「そう言ってくれると、少しは楽になる。ありがとうよ、ミットーリオ」




ミットーリオ 「礼なんていいよ。本当に、そう思っているんだから」




ベッキオ 「なんだか、静かだな……




ミットーリオ 「一晩中明るい町でも、静かになるときがあるんだね」




ベッキオ 「なんか疲れた……




ミットーリオ 「うん。もう、どこにも行けないんだから、ゆっくりと休むといいよ」




ベッキオ 「そうする」




 またも、しばしの沈黙。


 ところが、ミットーリオがなにかに気づく。




ミットーリオ 「ねえ、ベッキオ。なにか光が見える」




 目をあけるベッキオ。




ベッキオ 「わりい、俺には、もうなにも見えないんだ」




ミットーリオ 「そうか、ごめん」




ベッキオ 「ひかりって、どんな?」




ミットーリオ 「小さな点のような光。色は、白っぽい……ひょっとして、あれは星かな」




ベッキオ 「(期待を込めて)そうかもしれないぞ」




ミットーリオ 「でも、ずいぶん低い位置で光ってるよ」




ベッキオ 「かまうもんか。とにかく、ブルーフェアリーがあらわれますようにって、お願いしてみようぜ」




ミットーリオ 「わかった」




ベッキオとミットーリオ 「(手を合わせて)ブルーフェアリーさま。どうか、僕らの願いをかなえてください。僕らを人間にしてください」

 *******




♪15 星に願いをかけて 歌=ベッキオ、ミットーリオ

(ベッキオ)


星に願いを かけたなら


夢は叶うはずだと 信じてる


(ミットーリオ)


遠くひかる あの星に


僕の願いはきっと とどくはずだ




(ベッキオ、ミットーリオ)


※だって だって


 夢見てるもん 信じてるもん 本当に


 だって だって


 叶えて欲しい この想いを




(ベッキオ)


星に願いを かけたなら


夢は叶うはずだと 信じている






(間奏)






(ミットーリオ)


星に願いを かけたとき


あの青い妖精が 舞いおりる


(ベッキオ)


その瞬間を 待ちわびて


何度も願いをかけ 手を合わせる




(ベッキオ、ミットーリオ)


※だって だって


 夢見てるもん 信じてるもん 本当に


 だって だって


 叶えて欲しい この想いを




(ミットーリオ)


星に願いを かけたなら


夢は叶うはずだと 信じている




(ベッキオ、ミットーリオ)


※だって だって


 夢見てるもん 信じてるもん 本当に


 だって だって


 叶えて欲しい この想いを




(ベッキオ、ミットーリオ)


星に願いを かけたなら


夢は叶うはずだと 信じている






 *******

 ところが、しばらくたっても、なんの変化もおきない。




ベッキオ 「どうだ、ブルーフェアリーは、あらわれたか?」




ミットーリオ 「あらわれない。やっぱり、ブルーフェアリーはお話の世界だけなんだよ」




ベッキオ 「そうか……だよな……ピノキオのお話を信じるなんて、やっぱ俺たち、人形劇団で役を演じすぎたんだ。おとぎ話と現実の区別がつかなくなっていたんだな」




ミットーリオ 「仕方がないよ。そういうふうに作られたんだから……




 ミットーリオが、もう一度、星と思った光を眺める。すると、あることに気づく。




ミットーリオ 「違うよ。やっぱり、あれは星じゃなかった。だって、微妙に動いて、おまけにこっちに近づいているもの」




ベッキオ 「そうか。それじゃあ、お願いしても無理だな」




ミットーリオ 「でも待って。……いや、やっぱり星だったかもしれない。ブルーフェアリーがこっちへ来るッ」




ベッキオ 「本当かッ」




ミットーリオ 「あれ、そうだよ。妖精のブルーフェアリーに間違いないよ。金髪で、少女のような可愛らしい顔」




ベッキオ 「少女? ピノキオに出てくるブルーフェアリーって、少女だったっけ?」




ミットーリオ 「それに、青い服を着ているッ」




ベッキオ 「相手は妖精だから、大人でも少女のような顔つきかもしれないな。……それで、服は、服はどんなのを着ている?」




ミットーリオ 「ブルーフェアリーって言うくらいだか、もちろん青いパジャマのような……ん?(と自分で言いながら疑問に思う)」




ベッキオ 「パジャマ?」




ミットーリオ 「パジャマ……だよね、あれは……




ベッキオ 「……ひょっとして、それって……




●女の子の声 「見つけたッ。お母さん。やっぱり、王子様と悪人さん、いたッ」




●母の声 「ちょっと、ジェシー待ちなさい。走ったりしたら危ないでしょう」




●女の子の声 「ごめんなさい。でも、ちゃんといたよ。これで三人、揃ったよ」




●母の声 「もう……この子ったら、誰に似て、こんなに強情なのかしら」




ミットーリオ 「ジュリアを連れていったジェシーって女の子だ」




ベッキオ 「声でわかった」




ミットーリオ 「なんで、こんなところにいるんだろう」




ベッキオ 「それより、ジュリアも一緒か?」




ミットーリオ 「一緒」




●女の子の声 「ようやく見つけた。ほら、お母さん。言ったとおりでしょう。白タイツの王子様に、おひげの悪人さん」




 背景上部に、母と女の子の顔の影絵。


 ジュリアも、舞台袖から引っ張られるように登場して、ベッキオとミットーリオのそばに立つ。




●母の声 「そうね。でも、夜中に探しまわるほど、可愛らしいお人形さんとは思えないけど」




●女の子の声 「でもお母さん。明日になったら美化活動で、誰かに拾われちゃうもの」




●母の声 「そのほうが、お母さんとしてはありがたいけど」




ジュリア 「二人とも、だいじょうぶ?」




ミットーリオ 「やあ、ジュリア。元気だった? 腕は?」




 ジュリアが、直してもらった左腕をあげて、完治したことを知らせる。




ジュリア 「私はほら、このとおり」




ミットーリオ 「よかった。直してもらったんだね」




ジュリア 「でも、ミットーリオはその足……それにベッキオも、なんか動けないみたいだけど」




ベッキオ 「ミットーリオは、ジュリアと同じく、あの野良犬にやられた。で、俺は車に跳ねられた。ちょっと目が見えなくて、体も思うように動かないけど、でもだいじょうぶ」




ジュリア 「だいじょうぶそうには見えないけど……




●女の子の声 「いいでしょう、お母さん。もともと、この三人は一緒だったの。それを離ればなれにするのは可愛そう。マリリンだって、寂しいに決まってる」




ベッキオ 「マリリン? それってもしかして、ジュリアの新しい名前?」




ジュリア 「(ちょっと恥ずかしそうに)うん」




ベッキオ 「マリリンか……




ミットーリオ 「でも、どうしてここに来たの?」




ジュリア 「やっぱり、どうしても二人と離れるのが辛くて、それでジェシーにお願いしたの。二人も、一緒に連れて来てって」




ミットーリオ 「すごい。それって、ジュリアの言葉がジェシーには聞こえるってこと?」




ジュリア 「(首を横にふって)ううん。やっぱり、聞こえないみたい。でも、私の気持ちは、なんとなく通じたみたい。それで寝ようとしていたジェシーが急に起きだして、お母さんを無理やり説得して、二人を捜しに町に出てくれたの」




●母の声 「仕方がないわね。そのために、パジャマ姿のまま探しに出たんでしょう」




●女の子の声 「ありがとう、お母さんッ」




●母の声 「ちょっと、こんなところで抱きつかなくてもいいわよ。それより、お人形さんを拾って、早く帰りましょう」




●女の子の声 「うん。そのまえに、悪人さんについた泥をおとすから、ちょっと待って」




 ジェシーの手の影絵が上から降りてくる。


 ベッキオもミットーリオも動けないが、文句だけは言う。




ベッキオ 「こら、やめろ。俺さまの顔をいじくるな」




●女の子の声 「ほら、これできれいになった」




ベッキオ 「あれ、見えるようになった」




ミットーリオ 「なんだ。泥がついて、見えなくなっていただけじゃない」




ベッキオ 「(ばつが悪そうに)おまえだって、気付けよ」




●母の声 「さあ、それでもういいでしょう。さっさと帰りましょう」




●女の子の声 「お母さん。私、決めた」




●母の声 「なによ、いきなり」




●女の子の声 「大きくなったら、マリオネットを操る人になる」




●母の声 「あら、そう。この前は、ケーキ屋さんになるって言ってたけどね」




ミットーリオ 「ねえ、ジュリア。この子、人形使いになりたいって言ってるよ」




ジュリア 「そうね。もしそうなら、大人になっても、私たちのこと捨てずに操ってくれるかも」




ベッキオ 「それはどうかな。子供は気が変わりやすいから。特に女の子は」




ジュリア 「それでもいいじゃない。ジェシーなら、私たちといっぱい遊んでくれるわよ」




●女の子の声 「ねえお母さん。ここで、ちょっとお人形さんたちを、操ってみない」




●母の声 「うちに帰ってからにして」




●女の子の声 「そんなこと言わないで。ちょっとだけ、お母さんも操ってみてよ。今、お人形さんたちに糸をつなぐから」




●母の声 「じゃあ、ちょっとだけよ」




●女の子の声 「お母さんは、このペリリンを操って」




 引っ張られるようにベッキオが起きあがり、母親のほうへ移動する。




ベッキオ 「おい、なんだよ。俺の名はベッキオだ。ペリリンなんて変な名前、つけんな」




●母の声 「このお人形がペリリン? あなた、どういう感性してるの」




●女の子の声 「へへ……私は、このマリリンとホリリンの二人を操る」




ミットーリオ 「僕、ホリリン?」




ジュリア 「すぐに、なれるわよ」




ベッキオ 「そんなわけ、ねえだろう」




●母の声 「でも、どうやればいいのよ」




●女の子の声 「適当に、糸を引っ張ればいいのよ」




●母の声 「適当にね……




●女の子の声 「それじゃあ、いくわよ」




 背景上部に、人形を操る二人の手の影絵。

 *******




♪1-2正義が勝つのがお決まり 歌=三人

(全員)この世はいつでも正義が勝つのが お決まりさ


素敵な王子と綺麗な王女が 結ばれる




 (ミットーリオ)悪人につかまる王女を助けろ


 (ベッキオ)悪人がいるから正義が引き立つ




 (ミットーリオ)正義のつるぎが悪人を切り裂く


 (ベッキオ)斬られるこっちの身にもなってみろ




(ジュリア)可憐な王女はピンクに頬染め パッチリお目目


不幸のさなかも健気に生きぬく 根性娘




 (ジュリア)はじめはつぎはぎだらけの服着て


 (ミットーリオ)それでも綺麗がヒロインの条件




 (ジュリア)つらい仕打ちにも耐えつづけるの


 (ベッキオ)それでも最後にゃ王子と服ゲット




(ミットーリオ)とらわれた姫を助ける王子は 白タイツ


きっちり七三スプレーで固めて 歯がキラリ




 (ミットーリオ)スリムな体に溢れる勇気


 (ベッキオ)マッチョな王子は見たこともないぜ


 (ミットーリオ)王女のためなら炎のなかでも


 (ジュリア)そんなことするまえに体を鍛えろ




(全員)お話のなかは正義が勝つのが 世の常だ


悪が滅んで正義が栄える これ基本






(間奏)間奏のあいだセリフ




ジュリア 「なんか、楽しいね」




ベッキオ 「なつかしいって感じだ」




ミットーリオ 「うん。ワクワクするね」








(ベッキオ)極悪非道の悪人はいつも 髭はやし


ぶっとい眉毛でギロリと睨んで 威嚇する




 (ベッキオ)たまには正義をやってみたいぜ


 (ミットーリオとジュリア)その顔では正義には向いてない


 (ベッキオ)素敵な王女と抱き合うのが夢


 (ミットーリオとジュリア)それよりもまずは笑顔を見せましょ






(全員)それでは皆さん今日はありがとう さようなら


またいつか見に来てくださいね さようなら




 みんなの笑顔が僕たちの糧だ


 楽しいひとときであればいいけど


 今宵の記念にみんなの笑顔を


 忘れずおぼえていつまでもずっと




こんどはほんとに皆さんありがとう さようなら


またいつか会えるその日をずっと 待ってるね 


 待ってるね さようなら




 *******






●母の声 「あら、意外と楽しいわね」




●女の子の声 「そうでしょう。私、ぜったいマッペット使いになる」




●母の声 「なれると、いいわね」




 背景上部に、母と子の足が映り、舞台の袖へ消えていく。


 それにあわせて、引っ張られるように舞台袖へ移動する三人。


 最後に、観客に手を振って挨拶する三人。




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